エノク
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エノクについての整理
名前と表記
- ヘブライ語: חנוך, חֲנוֹךְ
- ギリシア語: Ενώχ (エノフ)
- アラビア語: إدريس (イドリース)
- 英語: Enoch (イーノック、イノック)
- 意味: 「従う者」
系譜
- 父: ヤレド(イエレド)
- 子: メトセラ
- 子孫: ノアの曽祖父にあたる ※カインの息子のエノクとは別人
各文献での記述
創世記
エノクという名前は2回登場:
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4章17節: カインの子エノク(別人)
- カインが建てた町の名前の由来
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5章21-24節: ヤレドの子エノク(本人)
- 65歳でメトシェラをもうける
- 365年生きた
- 特徴的な記述: 「神とともに歩み、神が彼を取られたので、いなくなった」
- 通常の死の記述がない
エノク書
- 天使エロヒムによって天に上げられた
- 天使メタトロンに変容させられた
- エチオピア正教では旧約聖書の正典に含まれる
ヨベル書
- 誕生: 第11ヨベル第5年周第4
- 母: バラカ(父は天使ラスイエル)
- 妻: エダニ(父は天使ダネル)
- 結婚: 第12ヨベル第7年周
- 子の誕生: 第6年にメトシェラが生まれる
ユダの手紙(新約聖書)
- 14-15節で『エノク書』から最後の審判に関する預言を引用
- 初期キリスト教徒も『エノク書』を読んでいた証拠
コーラン(イスラム教)
- 「マルヤム」の章に預言者イドリースが登場
- 神によって高い所に上げられたと記述
- このイドリースをエノクと同一視することがある
重要なポイント
エノクが後世で重視される理由は、通常の死の記述がなく「神が連れて行った」という特殊な表現がされているため、様々な宗教文献で言及される存在となった。