ミディアン
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ミディアン(ミディアン人)に関する整理
1. 起源と族系
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ミディアンはアブラハムの息子
アブラハムとケトラの間に生まれた息子がミディアン。 -
ヨセフ物語との関連
ヨセフは兄たちに穴に投げ込まれた後、ミディアン人またはイシュマエル人の商人に売られた。
2. モーセとミディアン
● ミディアンへの亡命
- モーセはエジプト人殺害後、40年間ミディアンで亡命生活を送った。
● ミディアンの祭司エテロ(レウエル)
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モーセはミディアンの祭司 エテロ(別名レウエル) の娘 ツィポラ と結婚。
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エテロはモーセに、
**裁判業務を部下へ委任する司法制度(分権的な裁きの仕組み)**を助言した。
● ホバブの同行要請
- モーセはレウエルの息子 ホバブ に、約束の地への案内役として同行を求めたが、
ホバブは故郷に帰ることを望み、同行しなかった。
● シナイ山と火山説
- 一部の学者は、シナイ山の燃えるような描写は、
サウジアラビア北西部ハラ・アル・バドル火山の噴火を反映した可能性を指摘。
3. バアル・ペオル事件とミディアン
● ジムリとコズビ
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バアル・ペオル事件で、
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イスラエルの男がモアブの娘たちに誘惑され堕落
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その中で、シメオン族の族長の息子 ジムリ が、
ミディアン人の女性コズビ と関係を持った
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二人はピネハスによって槍で刺し殺された。
● ミディアン征討(民数記31章)
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その後、イスラエルはミディアン人と戦争を行う。
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民数記31章によれば、
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処女以外のすべての女性が殺され
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町々は焼き払われた
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● モアブではなくミディアンへの攻撃理由
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『説教壇注解』『ギル聖書注解』などでは、
神の命令は モアブ人ではなくミディアン人を攻撃せよ という点が強調される。 -
申命記では、モーセは
「モアブを苦しめてはならない」
と命じている。
● 現代の誤解(ピネハス神権運動)
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一部の現代運動(ピネハス神権)は物語を
異人種間結婚禁止の根拠と解釈したが、-
ミディアン人もアブラハムの子孫であり
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モーセ自身ミディアン人女性と結婚しているため
誤った解釈とされる。
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4. 士師記時代のミディアン
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士師記では、イスラエルはミディアン人の圧政を7年間受ける。
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しかし ギデオン がわずかな兵を率いてミディアン軍を撃破し、解放した。
5. 預言書・新約におけるミディアン
● イザヤ書の預言
- イザヤは、
ミディアンとエファのラクダが、シェバの金と乳香を運んで来る
と語る。
● 新約での解釈
- マタイ福音書ではこのイザヤの預言が
東方の博士たち(三博士)が幼子イエスに贈り物を持って来る出来事の予兆
と解釈され、クリスマス典礼にも引用される。
総括:ミディアンの位置づけ
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アブラハムの子孫であり、イスラエルと複雑に関わり合う民族。
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モーセとの深い関係(亡命先・義父・妻)。
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バアル・ペオル事件を契機に対立が激化。
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士師記では圧政者として登場する一方、預言書では肯定的な側面も。
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旧約から新約まで、幅広く登場する民族。