塩ゆでの殺菌効果
Page content
食品を塩ゆですることで、茹でる際の加熱による殺菌効果に加えて、塩分による微生物の生育抑制効果が期待できます。
ただし、**殺菌効果の主な要因は、高温での加熱(茹でるという行為自体)**であり、塩分はあくまでその効果を補完したり、食品の保存性を高めたりする役割が中心です。
塩分の主な作用
塩分(食塩)が微生物に与える主な影響は、浸透圧によるものです。
- 浸透圧による水分低下(脱水)
- 食品に高濃度の塩分が加わると、浸透圧の作用で、食品中の水分が外に出されます。
- 同時に、微生物の細胞からも水分が奪われ(脱水)、生育に必要な水分が不足するため、微生物の活動が抑えられたり、死滅したりします。
- この作用は、漬物や塩蔵品など、食品の防腐・保存に広く利用されています。
注意点
食品を「ゆでる」際の塩分濃度は、通常、味付けや色止め、食材の引き締め(例:パスタのコシ、ゆで卵の白身の凝固防止)を目的とした比較的低い濃度(例:海水に近い2〜3%程度)であることが多いです。
この程度の濃度では、塩単独で強力な殺菌効果を期待するのは難しく、強い殺菌作用を示すには、非常に高い濃度(例:15%以上)が必要になる場合があります。
したがって、食品衛生上重要なのは、中心部までしっかりと加熱すること(例:病原菌の多くは100℃未満の加熱でも死滅する)であり、塩ゆでの場合は、「加熱による殺菌」と「塩分による生育抑制」の相乗効果として捉えるのが適切です。
ご質問の意図が調理における衛生管理であれば、塩分添加よりも、十分な加熱時間と温度を確保することが最も重要です。