牛乳の乳糖を減らす
牛乳の乳糖を減らすための対策としては、主に摂取方法の工夫や乳糖が少ない乳製品を選ぶことが挙げられます。
ご自宅などで簡単にできる工夫と、市販品を選ぶ場合のポイントをまとめます。
摂取方法の工夫(ご自宅で試せること)
乳糖の分解酵素(ラクターゼ)の働きを助けたり、腸への刺激を和らげたりする方法です。
- 数回に分けて少量ずつ飲む
- 一度に大量に飲むのを避け、少量ずつに分けることで、乳糖が分解されやすくなります。
- 温めてゆっくり飲む
- 牛乳を温める(ホットミルクやカフェオレ、ココアなどにする)ことで、腸への刺激が弱まります。また、消化酵素であるラクターゼの働きも活発になりやすくなります。
- 他の食品と一緒に摂取する
- 空腹時を避け、パンや食事など他の食品と一緒に摂ることで、消化が緩やかになります。
- 毎日少しずつ飲む習慣をつける
- 毎日少量ずつ摂取し続けることで、乳糖を分解できる腸内細菌が増加し、乳糖不耐症が改善される可能性があるとされています。
乳糖の少ない乳製品を選ぶ
もともと乳糖が少ない、または分解されている製品を選ぶ方法です。
- 乳糖をカットした市販の乳飲料を選ぶ
- 市販には、乳糖を約80%分解・カットした「乳飲料」が販売されています。これは乳糖不耐症の方でも安心して飲めるように加工されたものです。
- ヨーグルトやチーズを代わりに食べる
- ヨーグルト:乳酸菌の発酵によって乳糖が20~40%ほど分解されています。
- チーズ:製造過程で乳糖の大部分が取り除かれています。
補助食品について
- 乳糖を分解する酵素である**ラクターゼのサプリメント(補助剤)**も市販されています。これを牛乳などと一緒に摂取することで、体内で乳糖の分解を助けることができます。
注意点
牛乳を飲んでお腹の不調を感じる場合、その原因は乳糖不耐症(乳糖を分解する酵素が不足していること)の可能性が高いですが、まれに牛乳アレルギーや過敏性腸症候群など、乳糖とは別の原因である場合もあります。
症状が強い場合や、心配な場合は、一度医療機関に相談することをおすすめします。
牛乳の乳糖を分解する酵素であるラクターゼを主成分とする製品には、主に医療用医薬品と、**サプリメント(補助食品)**があります。
1. 医療用医薬品
医師の処方箋が必要な薬で、乳糖不耐症の治療補助などに使われます。
- ミルラクト細粒50%(一般名:β-ガラクトシダーゼ(ペニシリウム))
- これは純粋な乳糖分解酵素剤であり、医療機関で処方されるものです。
2. 市販のサプリメント・健康食品
ドラッグストアやオンラインショップで購入できる、ラクターゼ(乳糖分解酵素)を配合したサプリメントもあります。これらは「健康食品」や「栄養補助食品」に分類されます。
- 具体的な製品名はメーカーによってさまざまですが、海外製品や、国内メーカーの「ラクターゼエンザイム」といった名称の製品が検索結果でも見られます。
- 多くの場合、乳製品を摂取する直前に飲むことで、体内で乳糖の分解を助けることを目的としています。
3. 整腸薬に含まれる消化酵素
一部の整腸薬や消化薬には、乳酸菌や納豆菌、そして複合消化酵素が含まれています。複合消化酵素はデンプンやタンパク質を分解しますが、製品によってはラクターゼ(乳糖を分解する酵素)は含まれていないか、別の種類の消化酵素(例:ビオヂアスターゼ)が含まれている場合があります。
- ビオラクターゼ、新ビオラクターゼS錠
- これらの製品は主に乳酸菌や糖化菌、ビオヂアスターゼなどの複合消化酵素を主成分とする整腸消化薬や整腸薬として販売されています。これらは腸内環境を整えたり、一般的な消化を助けたりする目的の製品で、ラクターゼ(乳糖分解酵素)そのものとは少し目的が異なります。
ご注意ください
医療用医薬品の**「ミルラクト」**は医師の処方箋が必要です。
市販のサプリメントは、乳糖不耐症の症状を和らげる補助として利用されますが、効能効果を謳う医薬品ではありません。購入する際は、パッケージの成分表示をよく確認し、「ラクターゼ」や「乳糖分解酵素」が主成分として含まれているか確認してください。
もし、症状について心配な場合は、薬剤師や登録販売者、または医師にご相談されることをお勧めします。