骨盤底筋トレーニング
尿失禁の対策は、原因・年齢・性別・生活状況によって変わります。
① 生活習慣でできる基本対策(まず全員向け)
-
骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)
-
排尿を途中で止める筋肉を意識して締める
-
5秒締めて5秒緩める ×10回、1日2~3セット
-
-
トイレ習慣の見直し
-
「念のためトイレ」は控える(膀胱容量が小さくなる)
-
2~3時間おきが目安
-
-
水分のとり方調整
-
水分不足は逆効果
-
就寝前2時間は控えめに
-
-
刺激物を控える
-
カフェイン(コーヒー・緑茶)
-
アルコール
-
-
便秘対策
- 便秘は尿失禁を悪化させやすい
② タイプ別対策(ここが重要)
● 腹圧性尿失禁
(咳・くしゃみ・笑った時に漏れる)
-
骨盤底筋トレーニングが最重要
-
体重管理(内臓脂肪も影響)
-
女性は出産後・更年期に多い
● 切迫性尿失禁
(急に我慢できず漏れる)
-
膀胱訓練(少しずつ我慢時間を延ばす)
-
カフェイン制限
-
必要なら薬物治療(抗コリン薬・β3作動薬など)
● 混合性尿失禁
- 筋トレ+膀胱訓練を併用
● 溢流性尿失禁
(尿が出にくく、溜まって漏れる)
-
前立腺肥大(男性)などが原因
-
自己判断せず必ず泌尿器科受診
③ すぐ使える実用的対策(外出・睡眠時)
-
尿失禁パッド(男性用・女性用)
-
防水シーツ・吸水パンツ
-
夜間はトイレ動線を確保
-
冷え対策(腹巻きなど)
④ 受診の目安(重要)
以下に当てはまれば泌尿器科・婦人科へ:
-
急に始まった
-
悪化している
-
排尿痛・血尿がある
-
尿が出にくい/残尿感が強い
-
生活に支障が出ている
👉 尿失禁は「年のせい」ではなく治療対象です。
⑤ 年齢・性別別の一言
-
高齢者:転倒防止とトイレ環境改善が最優先
-
女性:更年期以降はホルモン低下も関与
-
男性:前立腺トラブルのチェックが重要
溢流性(いつりゅうせい)尿失禁とは、
👉 尿がうまく出せず膀胱に溜まりすぎて、あふれるように少しずつ漏れてしまう尿失禁です。
わかりやすいイメージ
-
膀胱=コップ
-
尿=水
👉 出口が狭い/詰まっているため、
いっぱいになっても出せず、縁からポタポタこぼれる状態です。
主な特徴(重要)
-
少量の尿が 常に・頻繁に漏れる
-
尿意が弱い、または感じにくい
-
尿が出にくい
-
排尿後も 残尿感が強い
-
下腹部が張る感じがある
※「急に我慢できない」切迫性尿失禁とは原因が逆です。
主な原因
● 男性に多い
-
前立腺肥大症
-
前立腺がん・術後
-
尿道狭窄
● 男女共通
-
糖尿病による神経障害
-
脊椎・脳の病気(脳梗塞、パーキンソン病など)
-
薬の副作用
(抗コリン薬、抗うつ薬、睡眠薬 など)
危険なポイント(放置はNG)
-
腎臓に負担 → 腎機能障害
-
尿路感染症を繰り返す
-
膀胱が伸び切って回復しにくくなる
👉 自己判断でパッド対応だけするのは危険です。
検査と診断
-
超音波で残尿量測定
-
尿検査
-
前立腺検査(男性)
-
必要によりMRI・CT
治療法
-
原因治療が最優先
-
前立腺肥大 → 薬物治療・手術
-
神経障害 → 排尿管理
-
-
間欠的自己導尿
-
薬の見直し
※ 骨盤底筋トレーニングは基本的に効果なし
受診の目安(強く推奨)
次があれば、早めに泌尿器科へ:
-
尿が出にくいのに漏れる
-
下腹部が張る
-
夜も少量ずつ漏れる
-
尿失禁パッドがすぐ濡れる
まとめ(超重要)
溢流性尿失禁=「出ないのに漏れる」
➡ 多くは治療が必要な病気が原因です。
尿失禁の種類別 比較表
| 種類 | 漏れるきっかけ | 尿意 | 漏れ方の特徴 | 主な原因 | 主な対策 |
|---|---|---|---|---|---|
| 腹圧性尿失禁 | 咳・くしゃみ・笑う・重い物 | ほぼなし | 一瞬・少量 | 骨盤底筋の弱化、出産、更年期 | 骨盤底筋トレーニング |
| 切迫性尿失禁 | 急な尿意 | 強い | 間に合わず漏れる | 過活動膀胱、膀胱刺激 | 膀胱訓練、薬物治療 |
| 混合性尿失禁 | 腹圧+急な尿意 | 両方 | 状況により異なる | 上記2つの併発 | 両方の対策併用 |
| 溢流性尿失禁 | 常時・気づかない | 弱い/ない | 少量が持続 | 前立腺肥大、神経障害 | 原因治療・導尿 |
| 機能性尿失禁 | トイレに間に合わない | あり | 間欠的 | 認知症、運動障害 | 環境整備・介助 |
見分けるための超重要ポイント
✔ 溢流性を疑うサイン
-
尿が出にくいのに漏れる
-
いつも下着が少し濡れている
-
残尿感が強い
-
下腹部が張る
👉 骨盤底筋トレや我慢は逆効果
✔ 切迫性を疑うサイン
-
急に強烈な尿意
-
トイレまで我慢できない
-
夜間頻尿あり
✔ 腹圧性を疑うサイン
-
咳・くしゃみで漏れる
-
日中のみ多い
-
尿意はほぼない
ワンポイントまとめ
-
「出ないのに漏れる」=溢流性
-
「我慢できない」=切迫性
-
「力が入ると漏れる」=腹圧性
骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)は、正しく行うことがとても重要です。
男女共通・自宅で安全にできる方法を、順番に説明します。
① 骨盤底筋の見つけ方(最重要)
次のどれかで感覚をつかみます。
-
排尿中に一度だけ尿を止めてみる
→ その時に使った筋肉が骨盤底筋
※※常用はNG(確認だけ) -
肛門をキュッと締める感覚
(おならを我慢する感じ)
👉 お腹・お尻・太ももに力が入らないのが正解
② 基本のやり方(初心者向け)
● 姿勢
-
最初は 仰向け(膝を軽く立てる)
-
慣れたら座位・立位へ
● 動作
-
骨盤底筋をゆっくり締める
-
5秒キープ
-
5秒ゆっくり緩める
● 回数
-
10回で1セット
-
1日 2〜3セット
③ 呼吸のポイント
-
息を止めない
-
締める時に息を吐くとやりやすい
-
お腹は膨らませず自然に
④ 慣れてきたら(応用)
● クイック締め
-
1秒締めて1秒緩める ×10回
-
切迫性尿失禁に有効
● 日常動作とセット
-
咳・くしゃみの直前に締める
-
立ち上がる前に締める
⑤ NG例(よくある失敗)
❌ お腹に力が入る
❌ お尻を強く締める
❌ 息を止める
❌ 排尿中に毎回止める
⑥ 効果が出るまでの目安
-
2〜4週間:筋肉の感覚が出る
-
1〜3か月:漏れが減る
-
3か月以上:安定した効果
※ 毎日続けることが最重要
⑦ 注意点(重要)
-
溢流性尿失禁には基本的に効果なし
-
痛み・違和感が出たら中止
-
改善しない場合は泌尿器科・婦人科へ
ひとことでまとめ
「肛門を静かに締めて、静かに緩める」
これを毎日続けるのがコツです。