Calibre
Calibre(キャリバー)は、電子書籍の 管理・変換・編集・KDP用EPUB作成まで、一通りできる総合ツールです。初めて使う方向けに、基本〜KDP用の実務にまで使えるよう、分かりやすく整理して説明します。
✅ Calibre の使い方(完全ガイド)
1. Calibre でできること
Calibre は以下の機能を一つのアプリで提供しています。
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📚 電子書籍ライブラリ管理
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🔁 ファイル形式の変換(Word → EPUB / PDF → EPUB など)
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✏️ 電子書籍のメタデータ編集(タイトル・著者名・表紙など)
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🛠 EPUB編集(構造調整、目次作成など)
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📱 Kindle端末への送信
KDP用EPUBを作るための無料ツールとしても最強です。
## 2. 基本操作:まずは書籍を登録する
① Calibre を起動 →「本を追加」ボタン
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Word なら .docx
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すでにEPUBなら .epub
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PDFも取り込めます(ただし変換精度は低い)
📌 Word → EPUB が一番安定します。
## 3. メタデータを編集する(KDPで必須)
書籍を選択 → 上部の 「メタデータを編集」
ここで以下を設定できます:
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書名
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著者名(ペンネーム可)
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表紙画像(.jpg 推奨)
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出版社情報(任意)
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説明文・タグ類
📌 表紙は 2560×1600 px 推奨(KDP基準)。
## 4. ファイル形式を変換する(Word → EPUB など)
書籍を選択 → 「変換」ボタン
左メニューの “出力形式” を EPUB に指定するだけ。
🔧 変換で設定しておくと良い項目
✔ ページ設定
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出力プロファイル:Kindle Paperwhite または Default
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入力プロファイル:自動
✔ テキストの処理
- スマート引用符変換:オンでもオフでもOK
✔ 目次(とても重要)
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Word の見出し(H1 / H2)がそのまま KDP の目次になる
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Wordで見出しを正しく付けておけば自動で整う
📌 「チャプターの検出」で余計な目次が生成されるときは、RegEx検出をオフにする。
## 5. EPUBの内容を直接チェックする(必要なら編集)
書籍を右クリック → 「EPUB を編集」
Calibre内蔵のエディタで:
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章のHTMLを直接編集
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余計なコードの削除
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画像サイズの調整
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ナビゲーション目次(NCX)の確認
📌 KDPにアップする前に EPUB をチェックできるのは非常に便利。
## 6. Kindle端末に送る
書籍を選択 → 「デバイスに送信」
(KindleがUSB接続されている場合)
または、ファイルを右クリック → 「ディスクに保存」 でローカルに出力。
## 7. KDPにアップロードする時の注意点
Calibreで出力した EPUB は KDP で正常に受け付けられます。
🔍 KDPにアップする前チェック項目
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見出しがH1/H2で統一されている
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ページ番号は書かない(電子書籍では不要)
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表紙画像は別途アップする(EPUBにも埋め込み可能)
## 8. Calibre を使う時のコツ(プロ視点)
✔ Word 原稿をきれいにしておくのが最重要
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見出しは「スタイル」で付ける
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画像は本文にインラインで挿入
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余計な改行・空白を削除
➡️ これだけで EPUB の品質が大きく変わります。
✔ PDF→EPUBは使わない方がいい
レイアウトが崩れやすく、修正の手間が増えます。
✔ Calibre の最適化機能を使う
EPUBファイルを選択 → 右クリック → 「圧縮」「最適化」
## 9. (必要なら) Calibre Plugins でさらに強化できる
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Quality Check(HTMLのエラー検出)
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Modify ePub(一括修正)
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EpubCheck(EPUBの正式チェック)
使えばよりプロ用の仕上がりになります。
📘 Kindle出版用レイアウト作成(Wordでの完全テンプレート)
電子書籍は「固定レイアウト」ではなく「リフロー型」なので、
Wordでのスタイル設計がすべての品質を決めます。
以下のレイアウトにすれば、Calibre でも Kindle Create でも崩れません。
① ページ設定(必須)
Kindleはページサイズがないので、Wordは標準でOK。
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余白:上下左右 2.0 cm
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フォント:本文は 游明朝 / 游ゴシック / メイリオ
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文字サイズ:11pt〜12pt
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行間:1.15 〜 1.3
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段落前後:前 0pt / 後 6pt
📌紙書籍のようにページ番号・ヘッダーは 絶対に入れない
📌段組・インデントのスペース挿入も 禁止(スタイルで設定)
② 見出しスタイル(KDPの自動目次の核心)
Wordの「スタイル」を厳密に使うと Kindle で完璧な目次が作れます。
| 章レベル | Wordスタイル | 推奨フォント / サイズ |
|---|---|---|
| 大見出し | 見出し1 | 16〜18pt(太字) |
| 中見出し | 見出し2 | 14〜16pt |
| 小見出し | 見出し3 | 13〜14pt |
📌 “太字を選ぶだけ”“サイズを変えるだけ” はNG → 必ずスタイルを使う
📌 見出しごとに改ページは入れない(Kindleが自動処理)
③ 改ページは「Ctrl+Enter」
章の切り替えは段落の空白を増やすのではなく、必ず:
- Ctrl + Enter(改ページ)
📌 空行で章を分けると EPUB内部で崩れます。
④ 箇条書き・番号リストは Word 標準を使う
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「・」や「①」といった記号を手入力しない
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Word の「箇条書き/段落番号」を使う
これで Kindle のフォント変更でも崩れません。
⑤ 画像のレイアウト(最重要ポイント)
Kindleでは画像が原因で崩れることが多いので以下を厳守:
■ Wordでの挿入時
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挿入方法 → 挿入 > 画像 → “インライン(本文と同じ行内)”
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回り込みは禁止(左右配置・文字列の折り返しはNG)
■ サイズ
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横幅最大 1200〜1600px
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スマホ表示が多いため 縦長の画像は避ける
■ 章の冒頭に大画像を入れるとき
- 改ページの直後に画像 → その下に本文
📌 見開き配置は Kindle では不可
📌 画像キャプションは1行の短文にまとめる
⑥ 表の扱い(絶対に崩れる領域)
表は Kindle では苦手なので原則:
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行数・列数は 5×5以内
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文字は 12pt 以下にしない
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セル内の改行は避ける
複雑な表は 画像にして挿入 が安全。
⑦ リンク(目次以外もOK)
Wordでリンクを挿入すると:
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Calibre でも
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Kindle Create でも
そのまま動くので安全です。
⑧ 表紙の入れ方(Wordでは入れない)
Wordには表紙を入れない方が安全です。
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表紙は EPUB生成後に Calibreで追加
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または KDPにアップするときに登録
表紙は 2560×1600px 推奨(KDP基準)
⑨ テンプレ構成例(ベストプラクティス)
【タイトルページ】
タイトル
著者名
出版者
著作権
(改ページ)
【まえがき】(見出し1)
本文……
(改ページ)
【第1章:◯◯◯】(見出し1)
本文……
【小見出し】(見出し2)
本文……
・箇条書き
・箇条書き
(画像)
(改ページ)
【第2章:◯◯◯】(見出し1)
本文……
(改ページ)
【あとがき】(見出し1)
本文……
⑩ 完成したWord → CalibreでEPUB化するときの設定
以下をセットすれば完璧:
✔ 変換 → 目次
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「見出し1」「見出し2」をチャプター検出に利用
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正規表現の検出は無効化(余計なチャプター生成防止)
✔ ページ設定
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出力プロファイル:Kindle Paperwhite
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入力プロファイル:自動
✔ EPUB出力
- 画像を自動圧縮:ON推奨